【読書】寝る前にはおすすめしない「怒り/吉田修一」 

私は寝る前に読書をすることが多いですが、間違った本のセレクトをすると寝れなくなってしまうこともありますよね…。

 

今回は吉田修一さんの「怒り」をご紹介します。どうぞ昼間に読んでください。

 

怒り (上・下)/吉田修一

 

ベルリンの図書館 にあったから借りてきました。

 

今回の「怒り」は、前情報を何も入れずに、寝る前に読み始めたら続きが気になりすぎて、一気に読んでしまいました。気が付いたら明け方でした。

 

寝る前にはかなり不向きな本だと断言します。

 

日本で映画化もされたので、映画をご覧になった方も多いかもしれませんね。

 

八王子で暮らしていた若い夫婦が自宅で惨殺。まるで世田谷一家惨殺事件を思い起こさせるような事件をきっかけに物語が幾重もの仕掛けとともに動き出します。

 

犯人は山神一也という27歳。

 

犯人は早い段階でわかるのですが、警察の失態により取り逃がした後、すぐに指名手配されるもその後事件は解決の糸口を見つけられないまま1年が過ぎてしまいます。

 

そんな折、房総の港町、大都会東京、それから沖縄の離島の3か所に身元不詳の男が突然現れます。

 

それぞれの場所で暮らす人々、房総で暮らす父と娘、東京で自分がゲイであることを隠しながら生きる男、それから奔放な母と一緒に沖縄の離島へ引っ越してきたばかりの少女は、それぞれ素性の知れないその男の素性を気にしながらも、日々の関わりの中でその男を受け入れていきます。

 

目の前の男を信じることで、もしくはその男ときちんと向き合わないことで、その男の過去から目を反らすことで、男は自分のたちの生活の中に組み込まれ、平穏な日々は続いていくように見えます。

 

しかしその頃、ある特別番組で“山神一也”の特徴が伝えられます。

 

顔にある三つに並ぶ珍しい黒子。

 

それは自分が関わっている身元不明の男の顔にあるものと同じ―。

房総、東京、そして沖縄、身元不明の男に関わっている人々にもたらされた断片的な情報と、続いて去来した疑惑。

疑惑という黒い感情は、人々の心の隙間にすっと入り込み、ものすごいスピードで蔓延していきます。

 

山神一也とは誰なのか。房総の港町、大都会東京、沖縄の離島に現れた3人の身元不明の男たちの中の誰かが山神なのか、3か所に現れた男は3人の男なのか、それとも同一人物なのか。

 

「人を信じる」という重い主題を背景に、読めない展開が読み手の指に次々とページをめくらせます。

 

また、「怒り」という不穏なタイトル通り、“誰かの怒り”が最初から最後までこの本の根底に流れ続け、人間の闇の深さにぞっとする一冊でもありました。

 

 

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