Last Updated on 2022年4月12日 by Jo
今日は久しぶりにドイツのことを。
2019年5月までは会社員として働いておりましたが、その後退職し、現在に至るまで失業保険を頂いておりました。記録のために残しておきます。
ドイツで失業保険がもらえる人の条件
ドイツの失業保険はArbeitslosengeldといいます。
基本的な条件としては、以下となります。
◇失業する前の過去2年間で、社会保険料の納入が義務付けられている職に12カ月以上就いていること
◇連邦雇用庁(Bundesagentur für Arbeit *今後はBAと表記)に「求職登録(Arbeitssuchendmeldung)」および「失業登録(Arbeitslosmeldung)」を行っていること
以下どのような形で仕事を辞めたかによって受給開始の時期が変わります。
自己都合で仕事を辞める場合
自己都合で仕事を辞める場合は、退職後三ヵ月間をおいて、受給が開始されます。
解雇・契約延長なしの場合
解雇になった場合や、契約延長がなされなかった場合など会社都合の場合は、前述のような三ヶ月期間はなく、基本的にその時点で仕事が見つかっていなければ当月から失業手当をもらえます。
給付期間と給付額
給付期間や給付額は基本的に失業者が過去どれくらいの期間勤務していたか、どれくらいの社会保険料を払ってきたかによって算出されます。
給付期間
最長は24カ月、過去5年間で12カ月以上社会保険料を支払っていた場合は6カ月、16カ月以上は8カ月、20か月以上は10カ月、24カ月以上は12カ月、30カ月以上は15カ月、36カ月以上は18カ月、48カ月以上は24カ月となります。
給付額
子どもの有無で給付額は変わります。子ありは「失業する前にもらっていた給与の手取り」の67%、子なしは60%となります。「失業する前にもらっていた給与の手取り」というのは、額面ではなく健康保険、社会保障料、税金など引かれた後の金額となりますのでご注意ください。
「手取りの60%」の中には保険料は含まれず、保険料はBundesagentur fümr Arbeitが負担してくれます。
Arbeitsagenturへの登録のタイミング
自己都合で仕事を辞める場合
前述したように、自己都合の退職の場合は三ヶ月待って失業保険の受給が始まります。
【ファーストステップ】
退職日が書かれた書類(Aufhebungsvertrag/雇用契約終了合意書)を会社からもらった3日以内に住所登録している地区のArbeitsagenturにて「求職登録(Arbeitssuchendmeldung)」および「失業登録(Arbeitslosmeldung)」を行います(注:担当者によっては、学歴によってCharlottenburgのBAでしか登録できないと言われることがあります。わたしがそうですが、周りに聞いてもレアケース)
Arbeitsagenturにレセプションのようなものがあるので、列に並び、順番が来たら担当の人に「失業者になります~」と伝えると、会話をしながらプロフィールを作ってくれます。
ファーストステップの登録の数日後にArbeitsagenturのサイト(Arbeitsagentur https://www.arbeitsagentur.de/meine-eservices)にアクセスできるPINなどが郵送で送られてきますので、サイトにログインし、職探しを始めます。このサイトへの登録およびプロフィール作成がファーストステップの中では重要です。
【セカンドステップ】
Arbeitsbescheinigung(就労証明書)を会社発行してもらったらArbeitsagenturへ送付するか、直接渡しに行きます。この就労証明が失業保険でもっとも大事な書類で、この書類をベースに失業保険の金額が算出されます。
https://www.arbeitsagentur.de/datei/dok_ba013139.pdf (これね)
三ヵ月後もし新たな仕事が決まっていなければ、失業手当が受給されることになります。
契約延長なしの場合
期限のない契約をもらっている人は関係ない話ですが、契約に期限があり、その契約を延長しない場合やしてもらえなかった場合は、すぐに失業保険が下ります(支払日は月末)。
この場合、何がなんでも遵守しなくてはいけないことは、契約終了日の三ヶ月前にはかならずArbeitsagenturに登録を済ませておくこと。
契約終了日が3月31日だとすると、12月30日までにはBAで登録を完了させておく必要があります。1日でも遅れると、よほどの理由がない限り、受給日が遅れることになります。
契約終了日の三ヶ月前までに次の契約が更新できるか会社に確認しておくのが望ましいですが、もしそれができない場合でもとにかくArbeitsagenturで登録を済ませておきましょう。
登録のプロセスは「自己都合で仕事を辞める場合」と同じです。
解雇の場合
残念ながらある日突然解雇になってしまった場合は、すぐにBAに向かい、手続きを行います。退職の日付が書かれた書類やArbeitsbescheinigung(就労証明書)はすぐに出してくれる会社もあるかもしれませんし、郵送で送ってくる会社もあるでしょう。
必要書類
【ファーストステップ】
・Anmeldung(住所登録)
・身分証明書
・Aufhebungsvertrag(雇用契約終了合意書)
【セカンドステップ】
・Arbeitsbescheinigung(就労証明書)
*解雇の場合は、上記全部の書類を一度に持っていくことになります。
失業保険を実際に受け取るまでの個人談
登録がきちんと済んでいれば、失業保険は月末に支払われることになります。Arbeitsagenturとのやり取りはすべて郵送なのですが、受給日の前に「受給金額」や「受給期間」等々書いた紙が郵送されてきます。
ちなみにわたしは担当の方の不親切とドイツ語の壁で受給が3ヶ月ほど遅れ、かなーり痛い目に遭いましたw もうさすがにもらえないかもと思いました・・・!
敗因は、Arbeitsbescheinigung(就労証明書)を出してなかったから!(爆死)
Arbeitsbescheinigung(就労証明書)って会社が提出するものとHRから聞いていたので何もしていなかったのですが、会社サイドからも渡しサイドからも両方とも提出しないとダメないようです・・・オンライン登録とArbeitsbescheinigung(就労証明書)提出は失業保険受給の核です。
失業保険受給後は何をするのか
基本的に失業保険は「次の仕事が見つかるまでのサポート」であるため、仕事が見つかれば受給はストップしますし、求職者の義務である「求職」をしなければなりません。
数ヶ月に一回、Arbeitsagenturから「X 月X月にArbeitsagenturに来てね」という招待状が届き、当日は担当者と面接を行います。主に確認されるのは、どれくらい真剣に就職活動をやっているか、ということです。よって、どれくらい求人に応募し、面接を受けたかなどを報告する必要があります。エクセルファイルにx月x日xx社に応募、書類審査パス、x月x日に面接などの記録をきちんと取り、担当の方にお見せします。
この面談をすっぽかしたり、就職活動全然やってませんということだったりすると、受給資格を失ってしまう可能性もあるので注意。
失業保険受給中のアルバイト等は?
失業保険の受給中であっても、週15時間未満の就労、それから月180EUR未満の収入については問題なく行えます(ただし申告はしておいた方がよい)。それを越えてしまうと、越えた金額を失業保険と相殺する形となります。
もし失業保険受給中に起業したいと思う方は、こちらの記事が参考になりますのでどうぞ (Meegmi 高橋萌さんの記事です→フリーランスのための起業準備その1 )
ビザ問題は?
ビザ問題が気になる方もいらっしゃるのではないかなーと思い、書いておきます。
わたしは今持っているビザが職の制限なしの3年ビザで2021年まで有効なので問題なく失業保険が受給できましたが、大昔に失業保険を受給しようとしたところ、ビザの期限が足りないと言われ、却下されたことがありました。
当時のビザは当時勤務していた会社との雇用が終わると同時にビザも執行するタイプのものだったので、失業保険受給の資格がない、とArbeitsagenturにて言われました。
今考えるとなぜ弁護士を使わなかったんだろう、と悔やまれます。
きちんと社会保障も払っていたのでもらえないということはなかったと思いますが当時はそのままフリーランスになり、失業保険を受給しなかった過去があります。今考えたらほんとアホなことしたなぁと思います。
こういった場合は即弁護士を使って、自分の権利を主張しましょう。
以上自分の経験と周りの人の経験も参考にしながらこの記事を書きましたが、州によって、担当者によって異なる場合もあるかもしれませんので、参考までに。
ではグットラック。