毎日の散歩で、枇杷はよく人を笑顔にする。
子犬のあまりのかわいさに、すれ違いざまに微笑む人がいる。
ときどき「mignon(かわいいー)!」と声が聞こえる。
今日は、たった10分の間に4人から「触ってもいいですか?」と尋ねられた。
枇杷はもちろん大喜びである。人間が好きな子のようだ。少しずつ彼女の性格もわかってきた。
犬に興味のない人もいるし、犬が苦手な人も、怖いと思う人もいる。
それでも枇杷を見て、ほんの少し表情がやわらぐ人がいるのを見ると、なんだかうれしい。
先日、夫と枇杷と歩いていたとき、道端にいた男性に声をかけられた。
「その犬、くれないか?」
なかなか強烈な一言である。もちろん、大切な姫を人に渡すわけがない。
けれどその言葉を聞いたあと、ふと考えた。
もし何かが少し違って、枇杷が別の人のもとへ行っていたら。
今とはまったく違う一生を送っていたのだろう。
同じ犬なのに、誰と出会うかで、その一生は大きく変わる。
犬は自分の一生を選ぶことができない。
だから、せめてこの子がうちに来てよかったと思える一生にしたい。

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