最近、散歩に出ると枇杷は全力で走る。
その走り方はまだどこかぎこちなくて、見ているときゅんとしてしまう。
もう少ししたら、もっと上手に走れるようになるだろうし、そもそも散歩中にこんなふうに全力で走ることもなくなるのかもしれない。
子犬の頃だけ。
実家ではこれまで二匹の犬を飼っていた。
でも、あの子たちが子犬の頃、一生懸命走っていた姿を私は覚えていない。
あんなに大好きだったのに、忘れてしまったんだな。
足をもつれさせながら走る姿も、私を振り返るその純粋な目も。
でも一方で、忘れていくことに救われていることもある。
悲しかったことも、つらかったことも、時間と一緒に少しずつ薄れていく。
それは少し寂しいけれど、たぶんそうやって人は生きていくのだと思う。
それでも今は、枇杷が全力で走る姿を、できるだけ覚えておきたい。
いつか忘れてしまうとしても、
今は、ちゃんと見ていたい。
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