夫は昨日、あるものを買ってきた。
大量のうさぎの耳である。
袋を開けて見た瞬間、思わず「Oh no」と声が出るくらいの見た目だった。
もちろん乾燥させてあるので、生々しさはだいぶ減っている。それでも、耳は耳である。
なぜそんなものを買ってきたのかというと、どうやら犬の噛みたい欲求を満たすのにいいらしい。
試しに枇杷に与えてみた。
「……なにこれ」
というような、なんとも微妙な反応だった。
飛びついて喜ぶほどではない。でも興味がないわけでもなさそうだ。
ときどき噛んでは、飽きたらやめる。
しばらくすると、床にうさぎの耳がぽてっと落ちている。
なかなかシュールな光景である。
少なくとも私は触れたくないので、片づけることもできない。
なるべく視界に入れないようにして放っておいた。
ところが今日の夕方には、その耳がなくなっていた。
どうやら食べきってしまったらしい。
かわいい顔してるけど、やっぱり君はだいぶ肉食なんだね、という感想が出てくる。
でも、待てよ。
そういえば今日は、枇杷に一度も噛まれていない。
夫に聞いてみると、彼も今日は噛まれていないという。
そんなに効くものなのか、うさぎの耳……!
「噛み癖が治った」というより、噛みたい欲求の出口が、人間の手からうさぎの耳に移った、ということなのだろう。
長く噛めて、匂いも味もあって、噛み応えもある。
フランスでは、うさぎ肉は普通に売られている。
そう考えると、捨てられる部分を犬のおやつとして使うのも、理にかなっているのかもしれない。
それにしても、うさぎの耳ひとつでこんなに違うとは。
この調子で、少しずつがんばっていこうね、枇杷。
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