Last Updated on 2022年4月12日 by Jo
2019年に呼んだ本のまとめです~
その前はこちらをどうぞ→(【読書記録2019】小説編 1、【読書記録2019】小説編 2、【読書記録2019】小説編 3)
森瑤子の帽子
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今の若い人はご存じないかもしれませんが(やだ!年取った人みたいや!笑)、バブル世代に書く本書く本爆発的に売れる人気作家がいらっしゃって、その名を森瑤子さんとおっしゃいます。
とは言え、わたしもバブル世代ではなく、森さんを知ったのは亡くなってからだいぶ経った頃ですが、高校生の頃大好きだった作家の山田詠美さんが森さんについてよくお話されていたのでその流れで読みました。
森さんの小説はご自身でも「からっぽの胃に手を突っ込んで無理やり何かを吐き出している感覚で書いてる」とおっしゃっているように、書かれた冊数が膨大なので全部は読みきれてないですが(でもほとんどは読んでいる)、森さんのデビュー作にして代表作「情事」はやはり必読です。
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この本「森瑤子の帽子」は森さんがこの世を去って20年以上経って出版され、森さんのご家族や森さんを知る作家の方にお話を聞く形でまとめられています(詠美さんや、五木寛之さん、北方謙三さんなどの名だたる作家ばかり…!)
バブルとはなんだったか、女とは、妻とは、母親とは何か、作家とは何か、そして森瑤子とは何だったのか。森さんファンは必読です。
その他の作品もKindleの読み放題に出てるようなので、読んだことない方はこちらもどうぞ!
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森さんと言えば!のエッセイ。今読むと、「えぇ~!?笑」みたいな価値観はありますが、女としての気概は今でも学べるかも・・・
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埋葬の仕事師たち
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どこかのネットの記事でこの本を知ったと思います。今から10年以上前に本木雅弘さん主演の「おくりびと」が話題になりましたが、誰しもがいつかは向かい合う“死”をお仕事にされている方々を、丁寧に丁寧に取材して書かれたものです。
映画「おくりびと」は亡くなった方のご遺体を清めて、旅立ちの準備をする納棺師のお話でしたが、この本には納棺師だけではなく遺体がひどい損傷を受けた場合の復元師や葬儀社社員、湯灌師、火葬場職員などなど葬送の儀に関わるさまざまな方々が取り上げられ、なぜこの職を選んだのか、また遺体や人の死、それから仕事とどのように向き合っているかなどなど、今まで決して陽のあたることのなかったであろう仕事が描かれています。
個人的には2019年の中で読んでよかった本ベスト3に入るくらいの良書でした。
以下はまだ読んでないのですが、関連本をKindle の読み放題で見つけたので、張っておきます。おもしろそう。
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さいごの色街 飛田
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「埋葬の仕事師たち」がとてもよい本で感銘を受けたので、同じ作者である井上理津子さんの本を続けて読みました。こちらは葬送とは離れた大阪の色町・飛田のお話。
わたし自身は関西で暮らしたことがないので飛田に特別印象があるわけではないのですが、大昔から続く遊郭の名残を色濃く残した街とは興味深いことやなぁ、と思いながら読みました。
井上さんご自身が飛田で働く女性たち、それからお店側の人たち、時には暴力団にまで取材したという気合の入った一冊です。
パリの娼婦たちには文学的な憧れはあれど(バタイユとかヘンリー・ミラーの影響で!)、色街は正直自分の人生とは関係なく、あまり実情を知らなかったのですが、女性たちの置かれている実情、貧困問題等々、今の日本の縮図が飛田にはあり、それはもしかしたら自分にとっても明日は他人事ではないと感じ、ぞっとしました。
特に日本は男女の格差が122位と大きく後退し、また女性、そしてその子どもたちの貧困が急激に広がっていると聞きます。
この本に書かれているのは目を逸らしていいことなのか。そうあなたに問いかける本です。
その他Kindle読み放題で読めるものをピックアップしておきます。
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沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち
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なんか風俗関係ばっかり読んでる…汗
こちらの本もどこかのネット記事で山田詠美さんが紹介されていたので興味の赴くままに購入しましたw
沖縄、わたしも大好きで毎年訪れたいくらい美しい場所であるのですが、今も米軍の基地問題や失業率、貧困層の多い地域でもあります。「沖縄大好き!」というのであれば、今沖縄が抱える問題からも目を背けてはいけないなーと思い、この本を取りました。
今の沖縄の売春事情だけではなく、戦後沖縄がどのような歴史を辿ったのか網羅できる本の構成です。
売春を摘発するだけでは問題は解決するのではなく、なぜ女性たちが売春をしなくてはならないのか、買収という仕事が無くなった女性たちはどうなってしまうのか、上記の飛田の本同様日本社会の縮図、経済成長の影でこぼれていったものたちが見えてきます。
かなり重い本ではありますが、沖縄問題を「一緒に」考えるためにぜひ読んでみてください。
癒されたい人はこちらをどうぞ
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人殺しの息子と呼ばれて
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こちらの本も重い本なんですが…。これもネット記事で紹介されているのを見て買ったかな?
ご存じない方も多いかもしれませんが、北九州監禁事件の犯人の実の息子さんについて書かれた本です。
「ご存じない方も…」と前述したのは、この事件というのが日本史上最も凄惨な事件と言われ、当時事件の内容が明るみになるにつれ、そのあまりの残酷さに報道規制が敷かれたためです(わたしは出身地の九州の事件だったので知ってます。最近はNetflixの映画「愛なき森で叫べ」が公開されたので、それでこの事件を知った人も多いかも?)
あまりにも極悪非道な事件で両親がともに逮捕され、まだ幼かった彼がどのような人生を歩まなければいけなかったのか。それは彼だけではなく、犯罪を犯してしまった親を持ったすべての子どもたちの人生を知る手がかりでもあります。
この本とは関係ないですが、平野敬一郎さんの『ある男』という小説にも同じようなテーマが書かれているので、そちらもぜひ。
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日本の貧困女子
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こちらの本も風俗関係なのですが、要するにわたしが関心があり、問題としているのは「貧困」そして「格差社会」です。
この本は北関東を中心に風俗などでカラダをお金に代えている女性たちを中心に取材を行ったものです。正直、にわかには信じられないような話ばかりだったのですが、これが本当だとすると日本の貧困はある特定の人だけの話ではない、と背筋が凍るようなルポです。
特に2005年小泉内閣の時に奨学金を金融商品化し、奨学金に高額な利子がつくようになり、それを境に女子大生の買収率が急激に上がったという箇所にはかなり衝撃を受けました。
また一昔であれば売春をしていなかったであろう層が売春市場に参入したことで、売春を生業にしていた層がそこから弾かれ、売春がセーフティネットにすらならなくなった、という記述はもはや絶句しかありません。
こういう本を読んでいると、結局問題は政治にしかたどり着かないとつくづく思います。
貧困とセックス
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こちらの本も貧困と売春、セックスをテーマにライター二人が対談形式で語らったものをまとめたものです。
Kindleの読み放題で読めますよ。
6.#あなたを幸せにしたいんだ 山本太郎とれいわ新選組
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去年の自分の関心は「貧困」や「女性問題」だったのですが、前述したようにこれらは政治の影響を直に受けているものです。
正直わたしもドイツに来て自分の生活が大変だったこともあり、日本の政治にまで目を向けられず、投票にも行っていなかった時期がかなり長かったのですが、貧困問題はいまや誰にでも起こりうる問題だと感じますし、特に昨今の日本の状況には危機感すら抱いています。
とにかく政治に関心を持つこと、社会に目を向けること、本当に大事だと思います。
そんな中Youtubeで山本太郎さんの街頭演説を聞く機会があり、政治や経済についてわかりやすーく説明していたことに感銘を受け、サポートになるならと思い、本を購入しました。
わたしはいろいろと吟味した結果、現時点でれいわ新撰組を支持政党として支持しているわけではないのですが、先の参議院戦でのれいわ新選組の候補者の方々を拝見し、小さき者たちが大きなものに立ち向かっていく姿は支持者ではなくてもかなり勇気をもらいました(元コンビニオーナーの三井さんや、元派遣社員の渡辺さん、創価学会員である野原さんなど)。
2019年夏の参議院戦の舞台裏、それから候補者たちのそれぞれのストーリーが読めます。
買ってから気がついたのですが、この本でれいわ新撰組の候補者たちにインタビューしている方は木村元彦さんなんですよ!
木村さんの他の本にも、またれいわ新鮮組のマニュフェスト、それから山本太郎さんの政治信条にも通じることですが、取り残されたものたち、こぼれていった人たちに光をあててくれるような本だと思います。
木村さんの本を読んだことない方はこちら!
サッカーやオシム監督の言葉を通じて、かなり難しい旧ユーゴスラヴィア事情にもアクセスできます。
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また、旧ユーゴスラヴィアのことに興味がある方はこちら。
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こちらは本当に読んでよかったと今でも思う良書。
ユーゴスラヴィア内戦において、長年ずっと“悪玉”とされてきたセルビアではありますが、実は内戦が終わって10年ほどたった2000年代まで(今はわかりませんが)、家族や隣人のセルビア人が突然姿を消していたことはあまり報道がなく、この本で初めて知りました。
関連してこちらも。
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当時ユーゴスラヴィアの代表だった“ピクシー”ことドラガン・ストイコヴィッチ選手についての記録です。
ちなみにわたしはベルリンにきた2013年、最初にフラットメイトだった人が旧ユーゴスラヴィア、現セルビアの人で、ピクシー話で盛り上がりました笑。
以上!