【読書】「洗脳-地獄の12年からの生還」を読んで

Last Updated on 2022年4月12日 by Jo

恐ろしい本を読んでしまった、読まなきゃよかった、が正直な感想で。のっけから身も蓋もないが、正直感想はそれに尽きます。

昨日X Japan の日記を書いて、さらにはずっとX Japan の曲を聴いてました、私。インターネットでもX Japanについていろいろ検索しているうちに、ボーカルのToshIの本が出版されていることを知りました。

その名も「洗脳」。ずばりのタイトルですね、本当に。そのままのタイトルすぎて、通常であれば手に取らないタイプの本なのですが、せっかくここまで来たんだから(?)、この本まで読んで見ようと思ったのです。

Amazonでkindle本を見てみると、大変評価もいい(2018年9月19日の時点で4.8)。しかもレビューの内容もなんだか重苦しくも胸を打つものばかり。しばしの躊躇いの後、意を決して購入してしまいました。

洗脳~地獄の12年からの生還

ToshI自身も洗脳された経緯について、“当時家族や友人との多くの悩みを抱えていて、心を病んでいた”と話していたのをテレビで見たことがある。この本を私が読もうと思ったのは、ミーハーな気持ちからというよりも、誰にでも起こりうる“心を病む”という状態からどのように洗脳されるに至ったかに興味を持ったからです。

作品紹介

1990年代、X Japan が売れに売れていた頃(この頃、私もCDを買った)、ボーカルのToshIは多くのトラブルを抱えていた。個人オフィスの代表である長兄、それから彼の母親が金銭にまつわるトラブルを起こし、また長兄の後釜に据えた知り合いのT氏もToshIの名前を使い、またしても金銭トラブルを起こしてしまう。ToshIのみならず、グループにも多大な迷惑をかけることになってしまい、そんなことからメンバーとの間に大きく溝ができてしまう。

特にこの頃、XはX Japanと改名してアメリカ進出を果たそうとしていた。ボーカリストとしての重責も徐々に彼の心を蝕んでいく。そんな時、唯一彼の心を癒してくれる女性に出会う。「ToshIさんはToshIさんのままでいいんだよ」そんな天使のような言葉をかけてくれたのは、その後彼の妻となる女性であった。

そしてそれがこの後12年も続く、洗脳への入り口となってしまうのだった・・・

「洗脳」を読んで

ここからは、私の感想になります。

あれですね。元々金銭的に裕福ではない(ToshIさんのご家庭がどの程度の経済力だったかという話ではなく、代々の資産家ではなく、有り余るほどの富を有していないという点で)人たちが急にお金を持ってしまうと、人はあまりの眩しさに錯乱してしまうのだ、ということを感じました。私もお金はもちろん好きですが、お金にはこんな作用もあるんだ、と改めて感じることになりました。

今ある幸せを冷静に見つめていかないと、何がなんだかわからなくなって、家族崩壊、それから人の一生を狂わせてしまう、そんな気がします。

それからメインの洗脳についてです。ToshIさんの場合は極端な例だと思うのですが、小さな洗脳というのは正直、誰にもあるのではないかと思います。私は引き寄せの法則には大変興味を持っているし、本も何冊も読みました。尊敬している人が、私本来の考えと別の意見を言えば、それに引きずられてしまう可能性だって多いにあるわけです。

では、そういうものとToshIさんの場合やオウム真理教など新興宗教などによる洗脳は一体何が違うのでしょうか

それはやはり、暴力や支配がない、欲にまみれていない、ということでしょうか。この本でも壮絶な暴力が丹念に描かれていますが、肉体的な暴力、それから言葉の暴力で人をコントロールしていく人というのは絶対に間違っているんです。

それから、品というのが大事だとも思います。

昔美輪明宏さんがオウム事件に関してコメントをなさっていて、「本当のカリスマというものは、品がある。麻原のような薄汚い人間ではない」という趣旨のことをおっしゃっていました。美輪様だから、服装や身なりのことをおっしゃっているのではないです。もっと人格、その人の内面に関することです。

この洗脳本の中に、ToshIさんが初めてMasayaに会った時、Masayaはよく痰を吐いていた、という記述がありました。体質だから仕方がないけれど、わざわざそれをこの本に記述しているということは特に印象に残っているということなのでしょう。この記述は、Masayaという人間が品のない人間だという印象を読者に与えます。

下品なことがその人の魅力になっている場合もあれば、作られた上品さというものも確かに存在します。しかしその人の裏を見た時に下品な言葉遣いや振る舞いをしていたら、尊敬も目減りするというものです。

またこの本を読んでいて印象に残ったのは、洗脳序盤から至るところでToshIさんが「Masayaや元妻の言動に違和感を覚えた」と書いてあるところです。一度や二度ではなく、何度も出てくるんです。本能は何かおかしい、逃げろと警告していたのでしょう。

ToshIさんほどひどい経験ではないにしろ、この人とは関わらない方がいい、何か変だと思うことは日常生活において多々ある。そしてどれほどそれを「気のせいだ」と感じて無視してしまうことか。私も、何度もります。

本能的に生きることがよしとされていない世の中において、本能に耳を傾けていくの本当に難しいことです。しかし、野生動物が本能で危機を察知するように、人間にだってまだその機能が残っているのかもしれません。

読後の感想

とりとめのない感想になってしまったのですが、夜中にこの本を読んでいて、読み終わってもToshIさんの受けた暴力や精神的苦痛、それから失った12年を考えていました。12年。それはなんと長い歳月なのだろう、と。

最近彼をバラエティで見て、あぁ活躍しているな、戻ってきてよかったなと思う反面で、なんとなく彼の表情が気になっていました。暴行の傷を隠すためだとは思うのですが、サングラスを絶対に外さないので彼の目はわからないけれども、“表情がない”という印象をも持ちました。

もう洗脳はされていないでしょう。それでもこの本を読み終えた後に思ったのです。彼は12年を失った。過去は気にしない、もっともっと輝いてほしいと心の底から思っている半面で、その12年はなかったことにはならない。きっと今だってその12年の闇の中に飲み込まれそうになる瞬間がたくさんあるのだとも思います。

彼の表情を見ていると思うのです、彼はその12年という歳月だけではなく、自分の中の何かをを確実に失ったのだと。

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