Last Updated on 2022年4月12日 by Jo
令和になって初めての記事です、みなさんこんにちは!
個人的な話になるのですが、働いていた会社の契約が終了しました。わたしが働いていたのはベルリンのスタートアップでしたが、いろいろと思うことがあるので、ブログに書いておきますね。
スタートアップと言ってもいろんな会社があるでしょうから、全然うちと違う!というところもあると思うのですが、個人的な体験を書き留めておきます。
ベルリンのとあるスタートアップで働いてみてよかったこと
まずは良かった点から。
ベルリンに住みたい人の就職先の受け皿としてはありがたい
昔のベルリンは(10年くらい前)「会社で働きたい人の就職先があまりない」みたいな就職不毛地みたいなところだったと聞きます。
なのでフリーランスで仕事を作り出す方向にかじを切った人も多いし、ベルリンを去った人も多いです。
ですが、最近はめっきりスタートアップの会社も増え、スタートアップで働く人もとても多くなりました。
日本人の向けの求人案内もひと昔は、フランクフルトやデュッセルドルフに固まっていた印象ですが(この場合はほとんどが日系企業)、最近はベルリンでも日本語話者の求人を見るようになりました(欧州企業で日本語話者を探しているケース)。
そういう意味では、ベルリンでも毎月定額のお給料をもらえる職の選択肢が増えたことは本当にありがたいことだな、と感じます。
スタートアップを始められた起業家の皆さま、ありがとうございます・・・!
新卒・移民でも採用されやすかった
ドイツでは日本のように新卒一括採用なんてないので、職歴や経験のない新卒の子たちには厳しい世界です。
彼らはインターンなどをしながら経験を積み、仕事を見つけていきます。うちの会社でもインターンをかなり採用してましたし、新卒についても率先して採用してました(後述があります)
同じように、新卒ではなくても、スタートアップの会社は移民にも扉がかなりオープンの印象。わたしの働いていた会社も、わたしを含む、多くがヨーロッパ内外からの移住者でした。
移住のファーストステップとしてはこういう会社はかなりありがたいです。
英語環境で働けた
スタートアップの中には英語オンリーで大丈夫!というところも多く、実際にわたしが働いているところも英語オンリーでした。
ゆくゆくはドイツ語を勉強したい人にも、ドイツ語を勉強する気がない人にとっても英語オンリーで大丈夫というのはかなりありがたいです。
・どれくらいの語学力が必要か?
わたしは日常生活に問題ないくらいには英語を話せますが、ネイティブのイギリス人やアメリカ人たちがビジネス会議をしていると、やはりついていけません。
それくらいの英語力しかなかったので、本当に大変でした。
業務の中で英語のレポートを書いたり、ネイティブの英語スピーカーとの会議などで発言しないといけない場合などは厳しく、わたしも何度も涙しました。
いくら能力があっても、ビジネスの深いところが英語でわからない、同僚やクライアントと対等に話せない、のレベルだと、晴れて採用にはなっても、底辺の従業員で終わる可能性が 大 なので、語学はできるに越したことはないです。
昇進できずに、低賃金で働くのは辛いですよ~。こんなはずじゃなかった、と思わないためにも言語はほんと重要です。
昇進しやすい環境
移民であっても能力、語学力があればバリバリ昇進できる環境だったと思います。
能力っていうのは数字が取れるだけではなく、振られた仕事に対してポジティブに対応できる力、コミュニケーションの能力も含みます。
これがスタートアップ系の会社じゃなく重鎮たちが占めているような会社だとその中でアジア人がぐんぐん昇進していくのは大変です。
その点、わたしが働いていた会社ではとにかく利益を出せる人が大事なので、国籍はあまり重要視されていないことはかなり評価できることだと思いました(移民を多く雇ってるのは、もちろんそれなりの理由があります、ここではかかないけど)
迅速な決断を目の当たりにできる
ベルリンのスタートアップ企業はとにかくほんっとスピーディー。
ダイナミックに物事が動いていきます。直属のボスも、その上の人たちもさくさく物事を決めていきます。
日本企業は準備が整うまではなかなか動き出さないですが、うちの会社は勝算がありそうならば、さくっと動き始めて、トライ & エラーで修正していきます。
見切り発車すぎるだろ・・・!と驚愕する時もありますが、その姿勢には見習いたいところも多々ありました。
ベルリンのスタートアップで働いてみて「ここはちょっと」と思ったこと
スタートアップ企業で学んだことはたくさんあるので、個人的には非常に感謝してますが、なかなか厳しい現実もあります。
離職率が高い
うちの会社だけではなく、他のスタートアップ企業で働く人も同じようなことを言っていたので、これはスタートアップの特徴と言っていいかな、と思います。
とにかくめちゃくちゃ人が辞めていきます。日本が辞めないだけだよ!という人もいるかもしれませんが、いやたぶんスタートアップ界隈の離職率はどこも似たりよったりなはず。
解雇については次の項目で述べるので、自主退職の理由についてのみ言及すると、
・単調作業なので、飽きやすい (これはおそらくうちの会社が)
・ただのStep stoneと考えている人も多いので、ある程度の経験を積んだらさっさと転職
・無理難題の仕事を押し付けられて無理☆ギブ☆になって離職
・評価されづらい(給与を上げたくないので、過小評価してくる)
などなどあります。
うちの会社で言えば、ほとんどが1、2年以内で辞めていく現象があり、2年働いてみるとかなりのご長寿の印象です。
解雇の嵐が吹き荒れることも
スタートアップの会社はまだまだ経営が不安定な部分も多々あります。その性格ゆえ、とりあえずは利益を出してくれる従業員が絶対的な正義です。
この子は見込みがなさそうだ、と思ったら一か月でサヨナラの人もたくさんいます。
もしくはそこまで成績が悪くなくても、会社に投資してくれる投資家たちが様々な事情で「明日まで何人カットして」と言えば有無なく従業員を解雇することも多々あります。
なので、「やっと仕事が見つかった!」とか「自分は一生懸命仕事を頑張ってきた!」という方でもある日突然解雇されることもあります。
そんな中で働いていくのは非常に大変だとは思いますが、おびえず、悲観せず、「そういうもんだ」と割り切って次に行く強さが身に付いた気がします。
ちなみにわたしが2年間解雇されなかったのは、私が日本語話者だから。ベルリンでは希少価値と思われて、わたし以外の日本人の従業員ともどもなんとか生き延びました。
日本人であることは、感謝してもしきれない、、、!
残業することもザラ
「ドイツには残業がない」という言葉をたまに見かけますが、ポジション次第では全然あります。
わたしもただの平社員ですが、仕事が終わらなくて毎日残業してた時期もありました。
それが自分の能力のなさだと言われたらそうかもしれませんが、ありえない量の仕事がいっぺんに来た場合には残業は普通にやらざるを 得ません。
わたしの会社の上司たちはほぼ定時に退社はしており、一見残業はなさそうに見えますが、帰宅してからもメールチェックは15分に1回、寝る直前までやってる、と言ってました。もちろん、土日も。
平社員がそこまで身を粉にして働く会社は普通にブラックですが、ポジションがあがれば、スタートアップの会社でなくても、おそらく普通に残業してます。日本の比じゃない、というだけです。
スタートアップ規模の会社では残業したからと言って、その分お金をもらえるなんてことはほぼなくて(もらえる会社もあるようですが)、あまりに残業が多いときはプロジェクトが終わってから半休もらう、などのように相殺できたのは良かったです。
YesとNoのバランスが難しかった
「外国人ははっきりとNo」と言うと思ってる人もいるかもしれませんが、仕事においてははっきりとNoと言ってる人はドイツにおいてもまれなんじゃないかな、と感じました。
特に出世したい場合は、結構皆イエスって言ってますよ。
自分の会社のサンプルしかなく、狭い範囲で語ることを許してもらえるならば、うちの会社はNoって自分の意思をきちんと伝えている人は明らかに昇進してませんでした 笑。
日本みたいに「お前はなっとらん!」みたいな感じで叱られるわけではないですが、裏で査定に響くという・・・。
わたしの場合は昇進したいからNoと言わないわけではなかったんですが、ボスがかわいそうだからやってあげよう、とか、日本人話者はわたししかいないから仕方がない、みたいな感覚で仕事をしていたら、完全にキャパオーバーになりました。
毎日残業して仕事をやっていたわけですが、そうすると会社側からは「彼女はNoと言わないからオッケー」という風に思われ、人手不足もありさらに仕事が増えました。
精神的にもかなり死んでて、土日はベッドで横たわる以外なにもできず、責任感だけで会社に行ってました。
さすがにやばいと思って、このあたりでわたしは「もうできない、No」と会社に言ったわけですが、搾取はこのようにして生まれていくということを身に染みて感じました。
でもNoと言いすぎると、やる気がないとかネガティブアティチュードだみたいな評価になるので、このあたりのバランスは難しいなと思いました。
まーヨーロッパ人であれば、搾取の傾向が見えるあたりでさっさと辞めてると思いますけどねw ビザのことがある日本人はなかなかやめられなかったりするんですよね・・・
スキルや専門がないと結局どうにもならない
わたしは運よくドイツで仕事を見つけられましたし、おそらくわたしみたいに運よく仕事を見つけることができる人はたくさんいるだろうと思います。
ですが、「新卒をたくさん採用してた」という文脈からもわかるように、スキルがあまりない新卒の子でもできる“エントリージョブ”なわけです。ステップストーンとしてはかなりありがたいですが、それ以上のことではありません。
海外就職はスキルがなくても可能でしょう、日本人を探しているエントリージョブは探せばきっとあると思いますし。しかし、スキルを磨かない場合(専門性がない場合)、ずっとエントリージョブをやり続けることになります。
年を重ねるごとにエントリージョブのインタビューには呼ばれなくなると思いますし、そうこうしているうちにキャリアがなくて日本にも帰れない、みたいなことにもなりかねません。
わたしは今後勉強しながら、今身についているスキルの専門性を高めていこうと思ってます。
もう少し早くやってればよかったなーと思いますが、「今日は残りの人生の最初の日」ということで、コツコツやっていこうと思ってます。
ひとます海外就職ネタはこの記事で終わろうと思います。もしまた書くことがあれば書くかもしれません。