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【読書記録2019】小説編 1

Last Updated on 2022年4月12日 by Jo

前回の耳で聞く本!Audible 記録2019に引き続き、自分のために読書記録を残すことにしました。本として読んだ数は45冊(KindleのUnlimited で読んだ分、および漫画に関しては含んでいません)。Audibleで聞いた本と合わせても、60冊前後でした。

うーん。一ヶ月5冊読んだか読んでないかくらいで、読書家とは到底言えないなーという冊数でした(汗)。2020年はなるべくもっと細かにまとめていきたいなーと思ってます。

1.ダンシング・マザー

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内田春菊さんの自伝小説『ファザーファッカー』のミラー小説(というのかな?)。25年前に出版された『ファザファッカー』は、春菊さん自身の養父からの性的虐待の経験を書いた衝撃的な自伝小説なのですが、『ダンシングマザー』は娘が受ける性的虐待をずっと傍で見ていた“母親”の視点で書いています。

「鬼母降臨」という表紙の文字が示すように、母親はただただ「鬼」でしかないのですが、しかしもしかしたら家庭を出た彼女の姿、事情を知らない他人が見た彼女のそれはただの「一般的な母」だったかもしれないことに恐怖を感じます。

2019年は何件も子どもの虐待事件が報道されました。また実の娘を長年レイプし続けた実父が無罪となるという、にわかには信じられない判決も出ました。

虐げられるのはいつも弱い子どもたち。自分たちに何ができるのか。それはまず「知る」ということではないでしょうか。

また、母親に複雑な感情を持つ方にも是非読んでもらいたいです。

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2.この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選

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アメリカ人作家による短編集(作者アン・ビーティーは現代アメリカを代表する作家の一人)

「ディナーはうまくできそうだ」の一行から始まるこの短編集は、特別何かが大きなことが起こるわけでもないけれど、淡々と流れていく日常を、静謐な筆致で書き上げています。なんとなく、悲しみが横たわっていて、読んだ後に心にじわりと滲んでいぐものがあります。

Kindle版がないので、紙で注文しましたが、読後漂う悲しさを楽しむには紙でよかったと思います。

3.あちらにいる鬼

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直木賞作家・井上荒野さん(これが本名だからすごい)による小説。

荒野さんの実のお父様で、作家でもあった井上光晴さんと瀬戸内寂聴さんの長年の不倫関係を書いた実話に基づく小説。寂聴さんが井上さんについて語っていらっしゃるのは何度かインタビューで拝見していたので、実の娘が書いた二人の関係というのはどうなんだろうな、と思い購入しました。

小説は寂聴さん(みはる)と井上さんの奥様の笙子という二人の視点で進んでいきます。

本人たちにしかわからない感情ってあるよなぁ、こんなろくでもない、でも魅力的な男に出会ったしまった女は不幸だなぁ、そしてたぶん誰よりも幸せな気もする、という小説でした。

ちなみに私は寂聴さんのお相手の方はずっと詩人の金子光晴氏だと思い込んでいて、今回ちょっとした驚きでした。

4.花宵道中

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遊女や花魁の文化はきらびやかで、映画などで見る分にはとても美しいのですが(江戸時代には遊郭がトレンドの発信源だったこともあったよう)、その負の側面はつらく、苦しいものです。数名の遊女を基軸とし、話が展開していきます。

先ほど調べたら、作者の宮木あや子さんはこの小説でデビューされたそう。歴史ものを書くには膨大な資料に当たる必要があると思うのですが、デビュー前にこの小説が書ける力量に舌を巻きます・・・!圧巻の遊女たちの物語。

5.綴られる愛人

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こちらも井上荒野さんの小説。

やりたいこともわからない富山在住の大学生・森航大と夫に束縛される生活を送る東京住まいの35歳の作家、天谷柚はひょんなことがきっかけで文通を始めます。もちろん、自分の素性を偽ってー。このやり取りは、単調な二人の生活を大きく変えていくことになります。

淡々とした小説ではありますが、薄い氷の上を歩くような緊張感のある小説です。

6.M 愛すべき人がいて

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いきなり「あゆ」です 笑。

わたしはあゆのファンでもなんでもないのですが、あゆが全盛期だった2000年代初頭にJKだった、いわゆる「あゆ世代」ではあります。

わたし自身当時ギャルではなかったし、今も別にあゆが体現する世界観を支持しているわけではないのですが、めっちゃ「あゆウォッチャー」ではありますね、はい。

とは言え、どちらかというとここ10年ほどの彼女に対しては否定的で、「どうしてそうなっちゃった、あゆ!」とつっこみたい気持ちがわたしをあゆウォッチャーに駆り立てています。

この本はあゆがデビューする前からデビュー後数年のことが書かれており、当時AVEXの専務だった松浦氏との恋愛が赤裸々につづられております。暴露本だのなんだの言われてますけどねー、わたしは純粋によい本だなーと思いましたよ。

当時誰もがあゆを羨望していて、あゆはすべてを手に入れたのに、大好きなその人だけは手に入らなかったって切ない話です。

あ、そうだ、あゆはママになったそうで、おめでたいことです。

日本の報道で「シングルマザー」と呼ばれていたけど、結婚してないだけでシングルマザーってすごい価値観だな…と思いました。パートナーとは籍をいれないだけで、一緒に育てていくのかもしれないのに、なんという決め付け・・・もう少し暖かな目で、いろんな家族の形を受け入れる社会であってほしいものです。

7.82年生まれ、キム・ジヨン

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2019年は日韓関係が戦後過去最低と言われていました。それもこれも政治のせいで、去年はニュースを見るたびに本当に暗い気持ちになっていました。

わたしは韓国にはずっと親愛の情を感じてきましたし、何度か韓国にもいき、ベルリンの親友も韓国人なのですが、ふと自分は韓国について何を知っているのだろう?という気持ちが沸いてきました。ちょうどそんな時に『82年生まれ、キム・ジヨン』が目に留まりました。

今まであまり韓国文学に触れることがなかったし、わたしは83年生まれで82年とは年代もかなり近いので、読んでみました。

82年生まれのキム・ジヨンは出産後、育児に専念していた。しかしある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのような言動を取ります。驚いた家族に精神科に連れていかれ、キム・ジヨンを診察した医師の目線で物語は進んでいきます。

誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児。

彼女の人生を振り返る中で、韓国社会に根強く残る男尊女卑の文化、女性が直面する問題が浮かび上がってきます。

これはお隣の国・韓国のお話です。しかし読み進めるうちにわたしたちは気がつきます。

「キム・ジヨンは、わたしであるとー」

韓国では異例の大ベストセラーを記録し、去年映画も公開されました。日本でお公開されるかもしれないので、どうぞお見逃しなく!

8.すべての、白いものたちの

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『82年生まれ、キム・ジヨン』と同じ訳者である斎藤真理子さんによる訳です。

個人的には最近読んだ中で一番感銘を受けた本でした(その前はレベッカ・ブラウンの『わたしたちがやったこと』が衝撃でした)。作者はハン・ガンという韓国人女性で、この方なんと、『菜食主義者』という別の小説で、国際ブッカー賞をとっているんですよね。

ブッカー賞はイギリスの文学界で最も権威のある文学賞で、過去にはイアン・マキューアンやカズオ・イシグロも受賞しており、国際ブッカー賞は英語以外の言語で書かれた長編小説が対象となっているようです。

『すべての。白いものたちの』は非常に断片的で、暗い雰囲気なので、小説をあまり読まない人からしたら読みにくいかもしれませんが、繊細な洞察力、それから言葉選びに舌を巻きます。こんなすごい作家が韓国にいたなんて・・・!とかなり興奮しました。

ただ残念ながら、彼女の作品はKindleで『すべての。白いものたちの』以外は売っていないので、他の作品はまだ読めていません。『菜食主義者』は英訳されているらしいので、英語で読んでみようかしら(時間かかるなぁー)

 

気になる小説はありましたか? 以上、2019年に読んだ本・小説編1でした!

ちなみに、わたしはほとんどの本はKindleで読んでいます(KindleはAmazonの電子書籍。楽天ユーザーはRakuten Koboから出ている電子書籍リーダーがあるようです。こちらの記事もご参考に海外在住でも読める!本は電子書籍が断然便利 )

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わたしはドイツのAmazonで購入しましたが、日本語の本も問題なく読めますよ!

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